amirisuのリリース後の1ヶ月はヒマなはずなのに、結局遊べない夏を過ごしています。
去年は創刊準備中で死にものぐるいに作業をしているうちに秋になっていたので1ヶ月ずらした、というのもあったのですが(創刊号は9月1日でした)、なんかやることが多いんですよ。結局毎週末家にいては作業をしていて、ふと気がつくと8月もあと1週間!海とか行きたかったなー。

 

恐れているのは、もう1年中こんな感じなんじゃないかってことです。どうにかして外に出る習慣をつけたいけれど、作業に集中するにはまとまった時間が必要だし、難しい。
佐藤可士和さんなど、公の場にも出ながら色々なクリエイションをされている方々がどうやって短時間に集中できるのか、その仕事ぶりがとても知りたいです。

 

普通の会社の作業とクリエイティブ作業は違う。エクセルで計算したりプレゼンを作ったり、というのは隙間時間でもできますが、グラフィックデザインや編集作業って、色々修正を加えた結果、30分経って文字が5mm大きくなっただけ、なんてこともあり得ます。スケッチを10枚描いても、最終的には1案になる。時間が必要なんです。

そんな合間に編むのと読むのが心の糧になってます。(本当は身体を動かさなきゃと思いつつ。)

 

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amirisuの2013年春号から、ロンドン在住デザイナー恭子さんのWalnut Snood。糸はShibuiの本社を訪ねた際に頂いたMerino Aplacaです。撚りが強く、わずかにアルパカのほわっと感がある美しい糸です。

近ごろ、糸選びが作品の半分以上なんじゃないかっていうところまで(漸く?)思い至りました。

 

先日NHKで見たカーレーサーの佐藤琢磨さんとパティシエの青木貞治さんの対談、とても面白かった。その中で心に残ったのは3つ。

1. (佐藤さん)13年間で1勝しかしていない。12年以上負け続けていても13年目の1勝のためにやっている。

2. (青木さん)違う文化圏に行ったら、まずは自分の身体に染み付いた母国の文化はリセットしなければならない。

青木さんはパリで修行を始めた最初の2年間、まったく日本食を口にせずにひたすらフランスの食材の味というものを身体に染み込ませたそう。同じナスでも味が違う。同じやり方で料理しても違うものができるから。パティシエとして現地で認められた後で、日本人らしさをプラスしていったというのです。

3. (青木さん)食材選びで料理の味の8割(9割だったかな?)は決まる。自分たちは素材の味を殺さないように最新の注意を払っているだけ。

 

ここで言いたかったのは上の3番目だけなのですが、ついでに他のステキな言葉も紹介してみました。

これですよ、素材。

今編み物をしながら、この糸で良かったのか、この糸なら本当は何を編んだらいいのか、いつもいつも悩んでしまうのです。

針の太さはもっと大きい方がいいのではないか、などなどね。

 

もちろん、糸屋さんをやっていない限り、際限なく好きな糸で編むことは出来ないので妥協はやむ得ない。ある糸で編まないといけないし。

 

編み物を始めた最初の2〜3年、本当に沢山糸を買いました。(編み物界ではこの手持ちの糸の量をS.A.B.L.E (stash acquisition beyond life expectancy)というらしいのですが。生きている間に編めない糸の量? 私はまだギリギリ大丈夫かもしれません。)これは本当に善し悪しで、初心者だから糸の選びかたを全然分かっていなかった反面、色々な糸を試したお陰で糸の違いが分かるようになったとも言えます。

 

もっと色々な糸を試したい。素材について詳しくなりたい。

 

編むこと自体よりもそっちに興味があるこの頃です。

(下はお仕事編み物。9mmの5本針というのが余りにも巨大でおののいた瞬間を捉えた写真。)

 

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