最近のできごとのアップデートを。

今年になって2冊の本を出版しました。1冊目はamirisu Travel vol.1 – A Day in Naraというパターンブックです。この7年ほど、雑誌以外にも毎年1~2冊のペースで編み物の本を出版してきましたが、その多くはRavelryなどで既出のパターンを日本語に翻訳して1冊にまとめるというもの。数年前からはDARUMAの毛糸を使った本も主に海外向けに作っています。でもあるときふと、こんなに本を作っているのに自分達の毛糸を使った本は作ってないよね、ということに気が付いたんです。そこから始まったプロジェクトです。

テーマはトラベル。どういうきっかけで決めたかはまったく覚えていないのですが、amirisuの糸はすべて移動にまつわる名前が付けられています。Wanderlust、Parade(街を練り歩く)、TrekとHike(ハイキングが好きだから)、Drift(ふんわりと移動する)、Stroll(ブラブラと歩く)、Sprint(走る)など。今では新しい糸を出す度に「歩く」の類義語を調べるだけで、その意味などは忘れてしまいましたが。多分、本当に、どこかへ行きたい気持ちが強かったのだと思います。

それでトラベル本。コロナでどこへも行けないからこそ高まる旅行熱。結局地元の奈良で撮影した奈良への旅の本になりましたが、個人的にはとてもタイムリーなテーマとなりました。いい加減旅行へ行きたい!皆さんもぜひ、トラベル本を片手に奈良へ遊びにきてくださいね。

本の内容的には、ちょっと難易度高めの作品が集合しています。amirisuの糸を知り尽くしたインハウスのデザイナーが、糸を最大限生かすようなデザインをしてくれました。撮影は中川正子さん。前回ショールの本ではスタジオで決めうちの撮影だったのですが、今回は1日ロケで頑張りました。去年出したDARUMA本の撮影(フォトグラはーは別な人)でロケの良さを改めて体感して、中川さんともロケがしたくなったのです。スタジオだと天候に左右されないので本当に楽ちんで、でもそれなりの写真になってしまいます。おっ!っていうのは余りない。一方、ロケだと思ってもみない仕上がりになることが多い。今回、雨のなか撮った最初のほうの作品や、急に日が出てきたKyokaショールなど、キラキラした写真が撮れました。思い出深い1冊になりました。

2冊目はオランダ在住の人気ニットデザイナー、Stephen Westさんのパターンブックの日本語版です。以前から翻訳したいとラブコールを送り続けていたのですが、本というかたちで完訳を出すというアイデアにOKをもらえたのだと思います。やっぱり自分の本が日本語になるって嬉しいよね。

翻訳は自分でしました。普段amirisuで出している海外パターンの翻訳や雑誌のパターンの翻訳は他の人にお願いしているのですが、レイアウト済みの1冊となると一気にやってしまった方が効率がいいのです。細切れにして色々な人にお願いすると、翻訳に統一感がなくなってしまいます。というわけで、久しぶりに1冊まるごと翻訳をしました。意外と楽しかった!

それで調子に乗って、Laineから依頼されたWorstedの翻訳も自分でやってしまいました。これも、既存のレイアウトを維持しつつ、エラーなく翻訳をするには、自分でやるのがベストなのですが、なかなか大変な仕事となりました。やっぱりStephenはすごい。パターンが簡潔でわかりやすい!全部のパターンが同じに書かれている!Worstedはたくさんのデザイナーが関わっているので、統一感が全然なくて大変でした。でも大変だったけど、また色々学びの多いプロジェクトになりました。思いもよらない編み方もあったし、他の出版社のやりかたを窺い知ることもできました。こちらは6月中くらいに発売になります!

今年は他に、もう1冊Brooklyn Tweedとのプロジェクトも控えています。仕事してる、わたし。

むかし出版社を辞めたときには、まさか再び自分で出版をするとは思ってもみませんでした。でも今なら、印刷代はかかるけど本を出すのは簡単。気になっていた人は自分で出版したらいいと思うのです。デジタルなら、さらに印刷代もかかりません。必要なのはレイアウトを組むためのInDesignなどのソフトだけ。世の中の出版社や取次に高いお金を取られて出版している人の気がしれません!

次回は、本以外の近況でも。